日本ゴルフ界のスーパースターの1人、ジャンボこと、プロゴルファー尾崎将司選手のスイングを解説するという、なんとも無謀なことに挑戦したいと思います。
素人の戯言として、鼻で笑いながら読んで頂ければ幸いです。
無謀にもジャンボ尾崎将司選手のスイングを解説するど素人
私がゴルフに興味を持ち出したのが、1980年。尾崎将司選手はその頃既にスーパースターでした。
翌年の1981年、シードを失なうかと思われるほどのスランプで、賞金ランキングは28位となってしまいました。(当時、シード権は賞金ランキング30位まで)
私感ですが、このスランプ以前の尾崎選手のスイングは、比較的、感性に頼ったスイングだったのではないでしょうか。
現在のツアーより、選手層が薄かったとはいえ、それで第1期AO時代をきづいたのだから凄いといえば凄い人です。
AON時代の少し前のAOMの時代を覚えていますか?レジェンド村上隆プロ
当時、ワンデイマッチが結構あって、初めてのコースでぶっつけ本番で60台をバシバシ出していたそうです。
少ない肩の回転で飛ばす
ジャンボ尾崎のニックネームの通り、尾崎選手の真骨頂といえば、やはりドライバーショットの飛距離でしょう。
『ジャンボ』というニックネームは、体の大きさから来ているのではありません。
デビュー当時の尾崎選手のドライバーショットのボールが、低く飛び出し、先へ行ってぐうんと舞い上がる弾道。(現在のセオリーでは良くないとされているスピン量の多すぎる弾道ですね)
それが、当時日本で導入された旅客機、通称『ジャンボジェット』ボーイング747が離陸するのに似ていることから『ジャンボショット』と報道されたのがきっかけでした。
そんなジャンボショットを放つ尾崎選手ですが、飛ばし屋としては、肩の回転が浅い。
この後、2000年代まで続く第2期ジャンボ時代になっても、肩の回転の少なさは尾崎将司選手のスイングの特徴としては残っていきます。
若い頃の尾崎将司選手は、バックスイングで、あまり顔を右に回していません。
当時、アメリカの一流選手、ジャック・ニクラウスやトムワトソンなどを例に挙げると、バックスイングでは左肩を右腿の上辺りまで回し、トップオブスイングでは正面から見て顔の右後ろに右肩が見える状態、両肩が100〜110度程、回転していました。
しかし、ジャンボ尾崎選手は、顔の向きは比較的正面、両肩は90度まで回さず、それでいてトップでの手の位置はむちゃ高いというのが特長でした。
バックスイングで顔を正面に向けたままなので、左肩が入ってこないのです。
しかし、この肩の回転の浅いトップで得られる尾崎選手の長所というのは、右腕の位置がばっちりと決まっているのです。
トップでも右手がボールを睨んでいる感じです。
これは、やはり尾崎選手が野球選手としては培った右手の感覚の名残りのように思えてなりません。
ジャンボ尾崎から学んだ事-1
肩を回したからといって飛ばせるもんじゃない。
腰の回転も必要最小限
尾崎将司選手の切り返しのタイミングは、他のプロゴルファーと比較して、かなり早い部類に入るでしょう。
テークバックで体の右サイドでウェイトを受け止める。
ここまでは誰でも同じだと思いますが、尾崎選手はこの後、バックスイングの過程で左腕が地面と水平になる頃(上昇中)には、下半身はすでに元に戻り始めているように見えます。(スローで見るとそうでもありませんが。)
まるで、ドライバーでアプローチのスイングをしているかのように私には思えます。
肩の回転が浅いのに、ヘッドスピードを出せるのはこの切り返しの速さが成せる技なのでしょう。
補足:理由は尾崎選手の利き目が右目だかららしい
横田真一プロがYouTubeを始めました。
ある動画でジャンボ尾崎選手のスイングを解説しています。
ジャンボさんは、バックスイングで、顔を右サイド側に向けていることは向けています。(ニクラスのチンバックと同じ)
しかし、ジャック・ニクラスのようにインパクトまでその顔の向きを変えないのではなく、
尾崎選手はチンバックしても、あっという間に顔を正面に戻します。
これは、尾崎選手の利き目が右目だからだと、横田真一プロは解説していました。
ここからは私見ですが、
もし利き目が右目の選手が、顔をチンバックした位置のままでインパクトしようとすると、
ゲーリー・プレーヤーやデビュー当時の中嶋常幸選手のように、頭を右に傾げたようなスイングになってしまう。
そうなると、尾崎選手が提唱する究極のレベルブローが実現しづらい。
よって、顔は早めに正面を向いてもいい。…かも。
正直、ジャンボのスイングを、かっこ悪いと思っていました。
ジャンボ尾崎選手が大スランプの頃、私は尾崎選手のファンで応援していましたが、正直、時々ゴルフ雑誌に載る尾崎選手のスイングの連続写真を見て「あまりカッコ良くないなぁ」と感じていました。(ある種、判官びいきの要素でファンだったのです)
当時、あるゴルフレッスンのムック本を立ち読みwしていたら、こんなページがありました。
詳しくは覚えていないのですが、それはバックスイングだったかトップの形についてのページです。
トップでの良い形の例として、当時、デビュー後直ぐに大活躍しグイグイいっていた倉本昌弘プロの写真が大きく載っていました。
肩は100度以上回っているのにクラブは立っていて、左膝を右膝に寄せ、高々と左踵を上げる(謂わゆるヒールアップ、私も憧れました)。
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そして、その写真の横に小さめに、悪い例として、なんとジャンボ尾崎のトップの写真が‼︎
今にして思えば、相当失礼な本ですよね。アマチュアゴルファーの写真を悪い例として比較するならともかく、ジャンボとは…。どこの出版社だ‼︎
勝負の世界は厳しいですね。尾崎選手のスランプ時の世間の評価は「もう返り咲かないんじゃないか?」という感じも漂っていました。
しかし、倉本昌弘プロは、自分の本の中で尾崎将司選手を「あれだけのことをやった人、必ず巻き返してくるでしょう」と書き残しています。
そして、その通りになりました。一流は一流を知るんですね、やっぱり。
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悪い例として載っていたジャンボのトップオブスイングの写真は、倉本昌弘プロとは正反対。
トップの肩の回転は90度手前なのにクラブシャフトは頭の上で水平に近く、腰もあまり捻らず、左踵はベタ足のまま。
私もその写真を見て、ちょっとカッコ良くないと正直思いました。すいませんジャンボ。
しかし、待てよ。この悪い例として載っていたジャンボのトップの特徴。最近よく言われるスイング理論の中に見受けられませんか?
最近のプロは道具の違いもあってか、圧倒的にトップではベタ足派が占めています。
ジャンボはやはり、時代を先取りしすぎていたのか‼︎
たぶん第1期黄金時代のジャンボは肉体が若くて、このスイングのメリットを上手く体現出来たのでしょう。
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ウィークに近いグリップを貫き通す
飛ばし屋=被せたグリップ(ストロンググリップ)という考えは当てはまらないんだと、尾崎兄弟を見てつくづく感じさせられます。
明らかに、飛距離にこだわりをみせる尾崎将司選手が未だにウィークに近いスクエアグリップを通している。体感的に、ストロンググリップ=飛距離ではない。という答えがジャンボ流なのでしょう。
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加えて、ジャンボさんより飛ばし屋のイメージが強い、弟の尾崎健夫プロはもっとウィークグリップが顕著です。
フォロースルーで、左手首を手のひら側に折りながら、シャフトを回す事でフェースローテーションするスイングはアマチュアには真似できそうにありません。窮屈そう。
兄弟で、一番飛ばない尾崎直道選手が左手の被せ具合が一番強いという具合です。
話をジャンボ尾崎選手に戻しましょう。尾崎選手はウィークぎみの握りに見えますが、ロングサムのパームグリップで、決して「弱い」感覚がないのかも知れません。
ジャンボ尾崎から学んだ事-2
左手グリップを被せたからといって飛ばせるもんじゃない。
徐々にスイングがカッコ良くなっていく
腰も肩もあまり回さず、手の位置だけがやけに高い、スランプ前後のジャンボ尾崎選手(勝手なこと書いてゴメンナサイ)でしたが、この頃からいろんな試行錯誤をしていたようです。
この頃、2人の弟も活躍し、3Jブランド(MTNIII欲しかったなぁ)の確立。「ジャンボ三兄弟に挑戦」というテレビ番組も始まりました。
この番組では、アマチュアが尾崎兄弟に挑戦する番組でしたが、主にジェットとジョーがプレイし、ジャンボはスイング映像だけというパターンが多かった記憶があります。
番組中、佐藤正一プロの解説で、何度も尾崎選手のスイングがスローを混ぜながら、流されていました。
ジャンボさんも自分のスイングを見る機会がこの番組を通して増えたんじゃないかと思ったりします。
この頃、賞金ランキング中位を上下しながら、尾崎選手は徐々に調子を上げていきました。
そして尾崎選手自体がゴルフオタク(スイングオタク)としてものめり込んでいった時期だったのではないでしょうか。
当時、振動数表示のプレシジョンシャフトを日本に紹介し、広めたのもジャンボさんでした。
肩が回っている‼︎
ジャンボが完全復活する少し前だったでしょうか、ゴルフ週間誌にジャンボ尾崎選手のイラストレッスンが載っていました。
ちょうどその頃の尾崎選手は、なぜか短パンにハイソックスという出で立ちでプレイしていました。
正直その姿はあまりカッコ良くなかった。
しかしそのレッスンの記事を見た時、ジャンボさんのスイングが綺麗になっていることを感じたのです。
前までは浅かった肩の回転が深くなって、正面から見ると、トップで少し頭の右後ろに右肩が見えるようになっていました。(最近はお年を召されて、元に戻っています)
そしてバックスイングで左踵のヒールアップをするようにもなっています。
この辺りで完全復活の準備が出来たのでしょう。
そして、AONの活躍で楽しい週末の夕方がしばらく続いたのです。折しもバブル景気の日本。男子ツアーは盛況でした。
ジャンボが完全復活すると、かつて世界で五指に入る美しいスイングと言われた中嶋常幸プロまでが、ジャンボ尾崎選手のスイングに影響を受けて、自分のスイングを改造しました。
しかし、これは良くなかった…。
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ジャンボ尾崎選手のスイングはダウンスイングに入る切り返しのタイミングが早いので、体の動く部分が少なく見えます。
すべてがアプローチのようです。
そしてウィークに近いグリップ。
強烈なウェイトシフトもしていません。
飛ばし屋の要素が少ないスイングでジャンボ選手は飛ばしています。
90年前後のジャンボさんのスイングを見てみると、実に力みのないスイングをしています。
飛ばしの秘密はその辺りにあるのでしょうか?
とはいえ、強さの秘密は実はパッティングも含むショートゲームにあったのですよね。
ジャンボのお母さんは、内緒でお弁当の卵焼きにまむしの粉を混ぜていたそうです。飛ばしの秘密はこれだったのか⁉︎
ただのファンのジャンボ尾崎スイング分析でした。 ジャンボさんどうぞお許しください。