サクランボって美味しいですよね。
特に国産のサクランボ。あの赤から黄色にグラデーションする色。
そして、ひと粒ふた粒じゃ、物足りないと思わせる、あの小ささが、まるで好きな人に1分しか会えない時のような恋しい気持ちにさせられます。
ところで、お花見でお世話になる公園や通りの桜、主に「ソメイヨシノ」だと思いますが、お花見で見るあの桜ってサクランボを見たことがない…。
「公園の桜の木」と「サクランボの木」は別種?
さくらんぼという果実「サクランボ」というくらいだから、桜(サクラ)の木になる果実と、私は今まで認識していましたが、
そういえば、お花見をする桜には、サクランボがならないですよね。
それが当たり前だと私たちの頭に刷り込まれちゃってます。
お花見用の桜とサクランボは違うものなんだと…。
みんな、そんなこと口にしたらバカにされるんじゃないかと口に出さないだけで。
ここで私は、頭の中を3才児に戻して、今ひとたび、疑問を投げかけるのです!!!
疑問1:桜とサクランボは別種なのか?
公園にある桜も、サクランボを取るための桜も、バラ目バラ科サクラ属の植物です。従って、全く同じではありませんが、同属であります。(広義のバラ目バラ科スモモ属と同じ)
品種が違うだけで、どちらも「桜」です。
疑問2:もしかしたら、お花見の桜も受粉すれば実がなるのか?
受粉すれば実はなります。
しかし、桜は「自家不和合性」と言って自分(桜)の花の中の雄しべと雌しべでは受粉しません。(自家受粉しない)
同一品種の他の個体の場合は受粉します。(他家受粉)
受粉するには、別の品種の桜の花粉か、同一品種の別株の花粉が必要になります。(それらのS遺伝子型の違う品種)
このような条件で受粉出来れば公園の桜でも実がつきます。(その実が食べられるかは、また別の話です。)
ソメイヨシノはクローンなので、同一種内で他家受粉は起こらない
庭園や公園にある桜、あなたもご存知の「ソメイヨシノ」という種類の桜が有名ですが、
同一種の桜だけが、公園や並木に並んでいても、自家不和合性の問題もあり、実がつかないのです。
ちなみに、ソメイヨシノは、人が、「挿し木」で増やした「クローン」が全国に広まったものです。
クローンですから、同一種で別の遺伝子をもったソメイヨシノというのが存在しないということです。
リアル分身の術ですから、全てのソメイヨシノが個体差なく、ある環境下で同じように一斉に開花するので、「桜前線」という気象情報が得られるワケです。
そして、仮に公園のソメイヨシノに実がなって、その種から芽が出たとしても、受粉した花粉は別種の桜のものですから、その種から育った木は純粋なソメイヨシノにはなりません。
じゃあ、サクランボ農家はどうやって桜に実をつけているの?
桜は自家不和合性により、同一品種では受精しないので、サクランボ農家では、別の品種を混植しています。
例えば、
- 「佐藤錦」と「ナポレオン」
- 「佐藤錦」と「紅さやか」
- 「佐藤錦」と「高砂」
- 「高砂」と「ナポレオン」
- 「ナポレオン」と「紅さやか」
などなど。
私見ですが、
受粉には、ミツバチを使うか、人が「毛ばたき」を使って受粉させる方法があります。
サクランボのなる木は、どこから入手する?
サクランボがなる桜の木は、現在、通信販売で、簡単に購入出来ます。
新しい趣味として、品種の違う桜を買い求め、受粉にチャレンジしてみるのも、面白いかもしれません。
これはなかなか、根気の必要な趣味となりますが、うまくサクランボが実った時には、この上ない幸せを感じることができるのではないでしょうか。する
追記:桜は、全ての品種が自家受粉できないわけではありません。
自家受粉できる桜は、
- 暖地桜桃
- ステラ
- 紅きらり
- さおり
などがあげられますが、自家受粉する確率は高くありません。
しかし、この先、10年、50年、100年先には、人の力によって、自家受粉で効率的かつおいしいサクランボが、研究開発されているかもしれません。